2002年04月06日
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宇宙世紀の駄ッ作機 MS-14 ゲルググ

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 モビルスーツの歴史は、ジオンの高機動試作7号単座戦闘兵器(7号単戦)から始まったと言っても良いでしょう。これは、初期のジオン軍が行った主力戦闘兵器公募に応募された優秀なプランに予算を付けて実際に試作させたものです。設計者は、ホリー・オーヴァー設計技師。若手ながら地球の有名大学で学んできた逸材でした。

 7号単戦は、それまでの兵器の常識を覆す、人型兵器でした。しかし、巨大人型機械という意味なら、その時点で必ずしも非常識なものではありませんでした。既にコロニー建設用の大型機械の1ジャンルとして、人型建設機械というものがあったのです。コロニーの構造上、整地することができない場所での大規模建設作業には、二足歩行できる建設機械が便利であり、作業内容によっては人型の2本の腕を装備した機械も珍しくありませんでした。この2つの条件を満たす機械は、まさに腕が2本で足が2本の大型人型機械でした。

 さて、ホリー・オーヴァー設計技師は、大学院の演習課題として、このような手や足を持つ建設機械の効率アップについて調べました。その際、彼は驚くべきことに気付きました。現場の操縦者達は、公式マニュアルには存在しない様々なテクニックを駆使していたのです。その中の1つが、宇宙空間で手や足を振り回して、その反動で姿勢を変え、推進剤を節約するというテクニックでした。

 これを兵器に応用したら、従来型の宇宙戦闘機に優位に立てる兵器になるかもしれない。ホリー・オーヴァー設計技師は漠然とそのようなアイデアを思いついたのでした。

 このアイデアにはもう1つの長所がありました。建設機械の技術を転用すれば、技術開発に要する期間を短縮できます。これは、早急に自前の軍事力を持ちたかったザビ政権下のジオンには非常に重要なことでした。

 このような期待を背景に完成した7号単戦は、関係者の期待を上回る素晴らしい性能を発揮しました。7号単戦には武装も装甲もありませんでしたが、当時ジオン軍の主力であった高機動戦闘艇との模擬戦闘は、7号単戦優位という結論を出しました。

 ザビ家関係者も満足し、さっそくこれを、実証試験機から兵器へとすべく、ホリー・オーヴァー設計技師に実用機種の設計が依頼されました。

 ホリー・オーヴァー設計技師は、ともかく時間がないという事情をよく了解しており、7号単戦の基本アウトラインは変えずに、最低限度の設計変更により、驚くべき短期間で仕事を仕上げました。パーツの多くは、工作機械と共用され、兵器産業が未発達の当時のジオンでも量産可能ということが配慮されました。この大傑作機は、MS-05の制式ナンバーとザクの愛称を与えられました。ザクという愛称は、開発中に「すぐれた宇宙攻撃兵器第C版」(Superior Space Attacker revision-C)を略してSSACと呼ばれていたことに由来します。しかし、防諜上、略語から機能や役割を推定されることは好ましくないということで、極めて慎重にZAKUという表記が様々な文書で使用されるものと決められました。

 MS-05は極めて成功した兵器として、アステロイドベルト戦線で大きな戦果を上げました。また、ここで多くのパイロットが、ザクによりエースの称号を獲得しました。

 この結果に満足したジオン軍は、ホリー・オーヴァー設計技師に、工作機械の部品を転用せず、全てのパーツを専用設計にすることで無駄を廃し、効率を上げた兵器の設計を依頼しました。MS-05の成果は、これこそがジオンの主力兵器だと誰をも納得させるだけのインパクトがあり、MS-05の後継機を生産するために新しい専用工場を造ることに反対する者など誰もいなかったのです。それよりも、民生用の部品が含まれることにより性能低下が起きることの方が懸念されていました。

 その結果、ホリー・オーヴァー設計技師は素早い仕事でこれに答えました。この開発プロジェクトは「すぐれた宇宙攻撃兵器第D版」(Superior Space Attacker revision-D)を略してSSADと呼ばれました。関係者は、これをザッドと呼んでいましたが、既にザクは愛称として浸透していたため、MS-06として制式採用にあたっては、ザッドではなくザクIIの愛称が与えられました。

 MS-06は、MS-05の性能を大幅に拡大したばかりか、MS-05が実戦で遭遇した多くの問題も解消されており、まさに戦争を勝利に導く主力兵器でした。MS-06の完成を持って、ジオン公国が1年戦争を開始したというのもうなずける話でした。

 しかし、MS-06の優秀さはジオン国民の優秀さの象徴と持てはやす一方、連邦の資金力と技術力があれば、MS-06をコピーすることも容易ではないかと懸念する声も小さくはありませんでした。

 ホリー・オーヴァー設計技師には、連邦がザク並の兵器を開発して反撃してくることを前提に、MS-06の後継機の設計が依頼されました。

 これは「すぐれた宇宙攻撃兵器第E版」(Superior Space Attacker revision-E)と呼ばれましたが、実際には「スーパーザク」や「ザクIII」と呼ばれることの多いプロジェクトでした。

 ホリー・オーヴァー設計技師はさっそく仕事に取りかかりました。続きます。


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